エクアドル選挙当局とヤスニドス、高まる緊張
EFE Jesus Sanchis Moscardo
2014年5月10日

エクアドルの選挙当局と環境保護運動ヤスニドスとのあいだの緊張がこの1週間に高まってきている。ヤスニ国立公園の一部の石油開発について、活動家たちが目指した国民投票をおこなわないことが明らかになったことによる。

全国選挙評議会(CNE)にとってはこれは一つの権利と手続きの問題であるのだが、ヤスニドス環境保護主義者にとってはそれ以上のものである。エクアドルのアマゾンに位置し、地球上でもっとも生物多様性に満ちた公園を守ることは一つの義務と見なされる。
ヤスニドスたちはITT地区(イチピンゴ、タンボコチャ、ティプティニ)の地下の原油採掘の是非を投票にかけようとした。ここはラファエル・コレア大統領が、国際的な経済支援と引き換えに石油を地下に留めておこうという計画が失敗したのち、採掘の推進を進めている地区である。

しかし環境保護主義者が集めた署名は、投票を実施するために規定で必要とされる有権者の5%に満たなかったとされた。CNEによると、必要数583,324人の署名にたいして、359,761人の有効数しかなかったことになっている。
しかし事件は署名の検査作業とCNEのこれに関する報告で終わりそうにはない。ヤスニドスは700,000人以上の署名を提出したと強調し、抗議行動の呼びかけや国内、国際的な機関にたいして法的手段を検討することを表明しており、CNEもまたこれを恐れていないという姿勢を示しているのである。

「国際裁判所の場で会おう」、CNEのドミンゴ・パレデス委員長は、署名の検査作業の終結のさいにエコロジスト団体の提出した書類に不正があったと告発して述べた。
CNEによれば、ヤスニドスの指導者たちは最高9回も繰り返し署名しており、身分証明の番号が不充分であったり、名前のない身分証明書や想像上の人物の署名、音楽符号やそのほかニコニコマークのようなものまで発見されたという。
パレデスはこれを「恥ずかしく感じる」、そして「国家にたいする尊敬、全国選挙評議会の尊厳に対する敬意の欠如」を示していると告発した。かれはこの種のことが繰り返されないために、何らかの適切な法的手段を取ると表明した。

しかしながらCNEが提出された署名の不正を告発するのと同様のことがらが、署名をおこなってきた側からも反撃されている。かれらによると不正のプロセスは署名用紙が収められた箱が提出され、これを監視することが出来なくなった瞬間から始まった。「38人の筆跡鑑定人が、4日間をかけて600,000人の署名を鑑定した。1分間に3署名だ!」 ヤスニドスはツイッターのなかで書いた。また無関係の署名用紙を混入したと考えられること、CNEの職員が監督されることなく、明け方までプロセスの仕事をおこなったことに不服を述べた。
活動家たちはCNEが無効とした署名について名前を明らかにするるように要求している。ここでは恣意的に無効にされたと告発している。

エクアドル政府はこの地区の採掘で得られた資源を、国の貧困の撲滅のため、とりわけアマゾン地方のために使用すると約束している。また被害を受けるのは最小限であり、公園の1000分の1だと主張しているが、環境主義者たちはこの前提条件を認めてはいない。
さらに政府は原油を地下に置いておくと主張していたときは、みずからの意思によって孤立している先住民を守る必要を語っていたが、経済利益を追求することに変わった現在、「孤立した先住民はもはや存在していない」と主張を変えた。

両者のあいだの意見の対立は深いものであるが、政府は石油開発計画を推進していくと決定しているようである。政府と活動家とのあいだの対立の歴史は、新しい章が書き加えられようとしている。こうしたなか政府のもと高官によって指導される選挙機関が、審判の役割を果たしているのである。

EFE (N0950)

ブログ「ラテンアメリカの政治経済」2014-05-14より


INDEX

HOME

inserted by FC2 system