エクアドル人権4団体が声明「それはテロリストなのか?」
Rebelion (2011.2.10)
2011年2月10日

国際人権連盟(FIDH)、全キリスト教会人権委員会(CEDHU)、人権問題地方協会(INREDH)、社会経済権利センター(CDES)は、エクアドル先住民共同体が彼らの土地での大規模な鉱物資源開発にたいし、彼らの権利を要求する運動、社会抗議を起こしていることにたいし、これを犯罪視する動きが強まっていることへの懸念を表明するものである。

事実として、2009年9月30日のモロナ・サンチアゴ州の抗議行動のあと、7人のシュアル族のリーダーが組織的テロリズムの容疑で告発され、3人が犯人として逮捕され、4人は隠匿罪でこれは逮捕されず、4人はあらかじめ猶予となっている(解決済み)。

2011年2月1日、シュアル・センター各州横断連盟委員長であり、告発されている先住民の一人であるホセ・アカチョ・ゴンサレスは、軍と国家警察の合同作戦のなかで逮捕された。同じ日、ペドロ・マシアント・チャミク、フィデル・カニラス・タイシュも逮捕され、かれらは最初、マカス警察本部に連行され、その後、地方の刑務所、最終的に午後、キトのガルシア・モレノ刑務所に収監された。

2009年9月の抗議行動の対象は、水資源法にあった。先住民共同体は、この法案が産業活動からくる被害から水資源を守ることにならないこと、鉱山法が開発を認められた企業にたいして、水資源への汚染を未然に防ぐ措置を取らなければならないということを、明確に規定していないものとみなした。

FIDH、CEDHU、INREDH、CDESは、シュアル族のかれらの権利を守るための動員を、「テロリズム」と同一視することは、抗議行動の権利に関する国際的な原則を甚だしく損なうものであり、テロ行為の内容を規定する国際的な規範にも反するものであると考える。

この意味からモロナ・サンチアゴ州裁判所長官の、刑法160条1項を適用しての裁判を開始する命令は、危惧を起こさせるものである。シュアル人民がみずからの権利の行使としておこなった社会的抗議行動は、組織、結社、表現の自由であり、これはエクアドル憲法、また国際的なたとえば米州憲章、市民と政治に関する条約に保障されているものであり、刑法160条1項に規定されたテロリズムの罪を適用することは、社会抗議を合法的枠組みから犯罪へと歪める危険を持ったものである。そのうえ抵抗権は現在のエクアドル憲法に完全に保障されているのである。

公的な抗議行動は組織的テロリズムを構成する犯罪とはならない。したがって憲法、国際的な義務を執行する国家は、逮捕した先住民を釈放しなければならない。教員のボスコ・ウィスマの死にたいする、客観的で公正な審理はそれとしておこなわれるにしてもである。これらの先住民は、単に組織の指導者であったという理由で、そしてあるいは、政府から事前の相談のない水資源法案に、公然と抗議行動で反対したことによって罪を負わされたという恐れが充分にある。このような理由から、われわれの組織は、エクアドルにおける抗議の犯罪化は、裁判にかけることによって、社会運動の要求を黙らせることにあると考える。

これらの事件は、外国企業が先住民の土地において、露天掘り鉱業の大プロジェクトのなかで起こったことを強調することができるだろう。この事業には国家による監視もなく、社会的な衝突を増大させ、共同体の基本的な権利を損なう事態を引き起こした。

抗議行動は2005年から全国規模に発展した。このことは直接的に、環境政策に影響を被る住民が関与していないこと、対話のプロセスと、地方の住民にたいして事前の情報と相談のメカニズムが欠如していることによっている。そして最後に国際労働機関(OIT)第169号条約と憲法に保障されている、先住民への相談が適用されていない。

同様にFIDH、CEDHU、INREDH、CDESは、2008年国民憲法議会によって、土地と水を守るための行動によって取り調べと裁判にかけられた人々にたいする特赦が決められたにもかかわらず、共同体の権利を要求する市民が、依然として弾圧され、逮捕され、裁判にかけられていることにたいして、懸念を表明するものである。

付け加えるならば、先住民と共同体にたいして、自由にして情報を与えられ、事前に相談をおこなうことは、エクアドル共和国憲法第57条、国際労働機関(OIT)第169条条約第6項において規定されていることを思い起こさし、一連のなかで人権が侵されていることに、最大の懸念を繰り返し表明するものである。

*この記事は、Rebelion (2011.2.10) の Uso indebido de la figura de terrorismo para criminalizar a lideres indigenas y sociales を翻訳したものです。


ブログ「ラテンアメリカの政治と経済」2011-02-13より


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